スウェーデンの高校に視察に行ってきた!
パソコンの充電が切れる前にこの記事を書き上げようと思って、ひやひやしながら大学で書いています、かのんです。
これもけっこう前の話になってしまうのですが、日本語の授業をさせていただいた高校でお世話になった先生が、フランス語の授業も持っているということで、フランス語の授業にもお邪魔してきました。
視察をしたいですって言っていたので、てっきり後ろの席で授業を見る形になるのかなと思っていたのですが、先生がとっても優しい方で、「ぜひぜひ前の方座って!」と言ってくれて、生徒と並んで授業を受けました。
と言っても、ほとんどフランス語でたまにスウェーデン語で説明が入るといった具合なので、MAX極上ちんぷんかんぷん :D
でも、授業を受けながら、発見したことをノートに書いたり、みんなどんな表情で授業受けているんだろうって思いながらクラスをぐるっと見回したり、隣の子に教科書を見せてもらったり、途中で先生に「どういうツールを使ってるんですか」って聞いたりして、たくさんの発見があった1時間でした。
クラスには15人くらいの生徒がいました。
先生の目も十分に行き届き、添削も時間をかけてちゃんとできるようです。
生徒には学校からパソコンが配られます。
一人一台。の時代なんですね!
家に持って帰って、宿題をやって、school websiteで提出して、
先生からのフィードバックはオンラインで返ってくる。
生徒がワードで書いたエッセイには、赤い文字で先生からのコメントが書かれていました。
私が高校生の時は、とにかく紙に書いて、次の授業で先生に提出する形でした。
だからよく「すいません宿題の紙忘れました…」って手をあげてたなぁ。
でも、パソコンに全部ドキュメントが入っていたら、ちゃちゃっと提出できるし、忘れようがないね!
パソコンを持ってくるのを忘れなければ、の話ですが。
たくさんの紙を持ち歩く必要もなく、フォルダに入っているものは一瞬で画面上で開ける。
パソコン一台でいろいろスマートになっているように思えました。
私の母校でも、もう全部デジタル化されてるのかな!てくのろじー…
紙に書いて、消して、うまく消えなくて黒くなっちゃって、消しカスを払って、また書いて、ってことも、これから全部デジタル化されると、少なくなりそうです。
「これ、あなたの字でしょ、名前書いてなかったわよ」
って生徒の字を見分けて、当たる度に私たちに「うぉおお!」って言われていた先生が高校にいたけど、そういうことも数十年後にはなくなるのかな。
エッセイを書く時はワードの方が絶対早いし楽だけど、
実際にスペルを書けなくなっていきそう。
携帯の漢字予測変換のおかげで、漢字が書けない人が増えたことを思い出した。
あと、よく書けていたエッセイなどはみんなが読めるように、そのプラットフォームにあげるらしい。いちいち印刷して、みんなに配る時間が省ける&紙も無駄にしないね!
総じて、紙をあまり使っていない印象を受けました。
でも、紙ではできないことをITはたっくさん可能にしているのだと、実際にクラスに行って感じました。
主に、音声。
次の授業までに、自分でこの音源を聞いてきて、シャドーウィングしてきてね。
っていう宿題が出されてました。
その音源も、パソコンでmy pageにとんだらすぐに聞けちゃうから便利。
しかも、単語の発音もすぐに聞けるので、発音を間違えて覚えることがなくなるらしい。語学習得では文法やリーディングが重視されがちだけど、やっぱり耳から入ったものは、赤ちゃんが耳だけで母国語を学ぶのと同じで、ちゃんと身につくのかなって思ったりした。
「とにかくいろんな教材に触れさせてあげるのが大事なの」
って言いながら、これはこの前出した宿題で〜って言いながらカチカチとクリックして、フランス語のニュース番組を見せてくれた。
「字幕が付いているし、実用的な言葉を学べるのよ〜」
たしかに。この方が、活字だけを追う宿題よりモチベーション上がりそう。
それと、授業で使われていた、
生徒のモチベーションをあげちゃう、とっっても素敵なツールがこれ!
Quizlet です。
今まで聞いたことありませんでした。
Wikipediaから引用すると、アンドリュー・サザーランドさんが開発したオンライン学習ツール。2007年に公開されて、2015年の11月には月間訪問者数が40万人を越えて、1億人が利用したんだって!1億人て、すごい。
2015年に最も急速な成長を遂げた米国の教育系サイトと認定されたらしい。ほぇぇぇぇ。
暗記ツールとして登録利用者が独自の暗記内容を構成できるんだって。
こんな機能があるよ。↓
Flash Card
パッパッパッとフラッシュカードで覚える
Gravity
語句の意味がひゅーっと画面を通り過ぎる前に語句を入力する
Learn
語句や定義が表示されて、それに対応する内容を入力する
Long-Term Learning
間隔反復による長期記憶定着を目的としてて、昔間違えたものやよく誤答する内容を優先的に出題してくれる
Speller
音声内容を正しく入力する
Scatter
枠内の単語を対応する枠内の定義にドラッグする速さを競う
楽しくゲームをやりながらできちゃう!
授業の途中で、じゃあゲームやりますね〜、となり、
ランダムに分けられたグループで競争して、みんなでわちゃわちゃとゲームの時間を楽しみました。
こんな楽しい授業だったら、私すぐにフランス語ぺらぺらになれるな!って確信 :)
みんなも楽しそうだった。
生徒のモチベーションをいかにしてあげるか。
いかにして授業を効率良く、かつ楽しめるようにするか。
先生の腕の見せ所。
ひとコマの授業が、ひとつのプレゼンのようにも思えたよ。
わかりやすく伝わるように準備して、工夫しなきゃいけない。
「この前はクイズを夜な夜な作ってたの、まぁ作るの楽しいんだけどね」
ってふふふと笑う先生の楽しそうな顔、忘れられないなぁ。
学ぶときは、シリアスになりすぎず、
楽しむ気持ちを忘れちゃいけないね!
視察しに行ってよかったです。
現場からは以上です!
生徒が作ったケーキが職員室に置いてあった。
ごちそうさまでした!おいしかった!
明日もいい1日になりますように!
スウェーデンの高校で授業してきた
書こう書こうと思って、ずっと書けていなかった学校視察のこと。
スウェーデンの地元の高校に視察に行く機会がありました。
その高校で、日本語のクラスを担任しているあるスウェーデン人の先生と仲良くなり、ぜひ授業に来てほしいと言われたので、秒でおけまるした◎
スウェーデンの教育制度を学ぶだけでなく、どんな風に主体性を引き出す教育が行われているんだろうって思ってスウェーデンに来たので、この話が舞い降りてきたときはもうガッツポーズしまくってました。
このチャンスは絶対逃すまい!と思って、わっくわくしながらお気に入りのマフラーを巻いて家を出た当日。
先生が風邪をひいてしまい、なんやかんやあって、私が1時間、日本語の授業をすることになりました。
生徒には「今日は日本人のKanonさんが代わりに授業に来ます」といったメールが送られていたみたい。
私それ知らないよ…!
クラスに到着してからそのことを知った私。
…いやいやいやいや!
急すぎて何をやればいいかわからないし、ひとりで授業したことないし、15人くらいの高校生は大人びすぎててなんか自分が小さく思えるし、まず何語で授業すればいいんだ…。
生徒はおしゃべりしながら、私の方をチラチラ見て、待っている。
ある生徒が、私のところに来て、「これ、ホワイトボードのペンです」って渡してくれた。ペンがなんだかずっしりと重くかんじた。
「今まで体験したことない種類のむちゃぶりだぁ〜やるしかないな…」と思いながら、
”Ok let’s get started!”
とか言って、震えそうな足に力を入れながら教壇の上に立った。
ここからだと、クラスのみんなの顔がよく見えるなぁ。
みんなの視線が、すべて私に向けられて、焼かれそうだった。
青い瞳、黒い瞳、茶色い瞳、灰色の瞳。
全部きらきらしていた。学ぶ瞳だった。
不思議なことにその瞬間から、あっっという間に1時間が過ぎてました。
ちなみに机の上に置いてあった教科書は「げんき」っていうとにかく日本語教育でポピュラーな教科書。
ルンド大学の日本語学科の人たちもこの教科書を使って勉強しています。
早稲田で日本語を学んでいる人のクラスにもボランティアで行っていたんですが、その時もみんな「げんき」を使っていました。
いつも教科書を使っているなら、今回は教科書は使わずに、会話だけで進めていこう。
と決めて、まずはひとりずつ日本語で自己紹介をしてもらいました。
日本人と日本語で話すことは全然なかったみたいなので、みんなすごい緊張してたなぁ。
ふんふん、趣味はなに?へぇ〜どんなのが好きなの?ほ〜ん、他にもこれ好きな人いるのかな?
と適当に話を膨らませたりして、いつ話が自分に飛んでくるかわからないような、ずっと顔をあげているような授業になりました。
みんなと話してたら、あれも知ってほしい!これも教えたらもう少し日本語が楽しくなるかな!何が知りたいのかな!って、どんどん溢れ出てくる感覚を味わいました。
お腹がむずむずする感じ。
教えるって、めちゃくちゃ楽しい。
先生って、こんなに生徒とたくさんコミュニケーションをとれるんだなぁ。
途中で何人かが、これは日本語で何て言うんですか?とか、これとこれの違いはなんですか?とか聞いてくれた。
正直、説明するのはすんごく難しかった。
自分でも考えたことのないようなことを言われて、
内心、「ええええそれはなんとなく「が」を使っているんだよなぁ。「は」を使うとなんとなく変なかんじがするんだよなぁ。」と思っていて、それを英語で説明しなきゃならんので、ぐぬぬと数秒詰まることもあった。
漢字をホワイトボードに大きく書いて、みんながそれをノートにうつしたり、
このフレーズはよく使うから、使ってみよう!って、クラスみんなで何回かそのフレーズを声に出して言ってもらったり。
すっごくいい経験でした。
母国語をあらためて考え直すと、けっこうおもしろい発見があります。
ニュアンスの違いや文法だけでなく、日本の文化やスラングも英語で説明しました。
あんまり垢抜けてない人のことを最近の大学生は「芋」って言うんだよ。うん、potatoね。ぽてと。って言いながら、ホワイトボードにじゃがいもの絵を書いたら、みんな爆笑してた。
スウェーデンの若者が使っているスラングや高校生のイマドキの文化も教えてくれて、楽しかった。
教室って、一方通行ではないですね!
学び合いの場なんだなぁって、感じました。
説明したあとに、生徒が「へぇ〜!」「知らなかった」というリアクションをしてくれると、私の中でも、「伝わった!」「よかった、わかってくれた」って嬉しくなりました。
最後に授業のことや教育について聞いた時に答えてくれた、印象的だった言葉。
「スウェーデンでは、先生はもっとちゃんと認められるべき」
「給料が低い」
「いつもパソコンを使って授業してるよ」
「みんな英語は普通に話せるから、日常会話も英語になる」
今まで見てなかったスウェーデンの教育の影の部分と、ITと教育をうまく掛け合わせている部分、そして英語教育のレベルの高さが見えました。
生徒はみんな、学校からひとり一台パソコンを配布されていました。
それを毎日持ってきて授業中に使い、宿題もその学校が作ったプラットフォームに提出する。
授業で使ったパワポも、そこにのっていて、家で何回も見れる。
あと、普通に教材に音声が付いているから、ぽちっと押すと発音もすぐ学べる。他の言語を学ぶにはすごくよさそう。
「じゃあ5分早いけど、授業おわりにします!楽しかったよありがとう!なんか質問あったらぜひ聞いてね」と言って、ペンのキャップをキュッと締めました。
疲れたけど、それ以上に、ほくほくしているものがあった。
「Kanon先生、ばいばーい!」
年はひとつふたつくらいしか変わらないのに先生って呼ばれて、ちょっと不思議なかんじでした。嬉しかったです。
先生、風邪だいじょうぶかな。
でも、風邪をひいてくれたおかげで、私もいい経験できました。
貴重な機会をありがとうございます!
明日もいい1日になりますように!