Canon越しの世界

スウェーデンでの生活を、自分の目とカメラを通して、ゆるく発信していきます

こっちに来て初めて泣いた日

今日、初めて心が反応して、泣いた。

 

日本にいるときメンタルがお豆腐みたいな時があって、すぐにほろほろ崩れて泣いてたのに。

 

こっちに来てから、涙うるうる…ってなったり、あくびしたり、玉ねぎのみじん切りしてて硫化アリルに目が反応して泣いたことはあったけど、頬を伝うくらい涙を流したことは今日までなかった。

 

 

今日の朝、自転車がパンクしてました。ぺったんこになってるどころか、中のチューブみたいのがでれーんと出てて、見るも無惨なかんじになっちゃってて。自転車屋さんで直してもらうかぁ…と思って自転車押しながらとぼとぼ歩き始めた。

 

歩いて2分後。腸みたいに出たチューブが絡まって、後輪が動かなくなり。近くにあったハンバーガー屋さんに行って、そこに自転車を停めて歩いていくことにした。そしたらそのお店のテラス席にいたおじいちゃんとちょっと強面のにいさんと目が合った。

 

 

「大丈夫か」

「自転車壊れたんです…(げんなり)」

直してやる

「いえ、大丈夫です(これすぐ直るもんじゃなさそうだしなぁ…)」

オケィ

「え、でも」

大丈夫

 

 

そしたら強面にいさんがどこからかペンチやらポンプやら持ってきた。おじいちゃんが慣れた手つきで、ねじをぽいぽい外していく。私はその横でしゃがんでて、あっという間に解体される自転車を見ながら、本当に文字通り「あっ」としか言えなかった。

 

英語が全然通じなくて、見た目は中東っぽい2人。「どこから来たの」ってスウェーデン語で聞いたら、「コソボ」って返ってきました。そのあと英語で話しかけても「大丈夫」ってスウェーデン語で返ってくるので、ちょっと不安になった。

 

チューブに穴が空いてたので、こりゃ新しいのに変えなきゃだめだ、ということになり、おじいちゃんがそのチューブを持って、車に飛び乗ってどっか行っちゃった…。

 

 

ぽかんと佇む私。

スマホをいじる強面にいさん。

バラバラになったサビだらけの自転車。

 

 

すごく不安になった。

 

 

おじいちゃん、帰ってくるのかな。

てか自転車直るのかな。

この強面にいさんって何者なのかな。

 

 

スウェーデン語でいろいろ聞かれて、よくわかんないけど英語とジェスチャーで頑張って会話してたら、おじいちゃん帰ってきた。

 

ネジをしめたり、新しいチューブを取り付け始めたけど、なかなかうまくいかない。何分もペンチとか手動ポンプであれこれやるけど、タイヤが元に戻らない。イライラしてきたのかわからないけど、おじいちゃんがすっごい大きな声で、何語かわからない言葉で強面にいさんと話し始めた。

 

 

…まってまって、これ、自転車直ったところで、すごいお金請求されるやつだ。

どうしよう、どうしよう。

 

あぁ、後輪を浮かしながら自転車屋さんに直行するんだった。

 

 

逃げたい…(泣)

 

 

そう思ってふと自転車を見たら、おじいちゃんが車に自転車を積んでるじゃあありませんか!

 

 

「いいから車乗れ」みたいなことを言われ、こわくて、不安で、でもどこかで彼の優しさを信用したくて、でもやっぱり疑いがあって。

 

 

「はやく、急いでるんだろう」的なことを言われ(たぶん)、直感で、彼を信じました。

 

スピードを出して車を走らせるおじいちゃん。でもやっぱりこわくて「私、予定あるの。はやくおろしてほしい、その修理屋やさんって遠いのどこなのじいさん!遠いなら行きたくない!」って英語で言ったけど、肩をぽんぽん叩いて「大丈夫」ってスウェーデン語で返される。

 

 

誘拐されてるのかな…。

強面にいさんの腕に刻まれたタトゥーを思い出して、あぁ、なんてこった、って思った。どうやって逃げようか。

 

 

苦しくなるほど、不安になった。

 

 

通ったことのない道に入り、いくつか角を曲がって、車は止まった。

 

おじいちゃんが降りたので、私も助手席から降りた。降りられた…!

誘拐はされてなかったみたい。

 

おじいちゃんが自転車をおろして押していく先に、自転車のマークが見えた。ありえないくらい安心したと同時に、疑ってごめんって思った。

 

お店の中でポンプを借りて空気を入れ、ネジをとめ、はいできたよって言われて。お金…って財布を出そうとしたら「大丈夫、大丈夫」って言われて。

 

展開についていけなくて、感情が整理できてなかったけど、彼のあたたかい優しさが嬉しくて、安堵の気持ちがぶわぁぁって溢れてきて、とにかくありがとう、一生忘れないよって言って、ハグをしました。ほら行きな!って言われたので、自転車にまたがって、「ドラマのワンシーンみたいだ…」とか思いながら、太陽の方向に走りました。パンクする前よりもペダルが軽くなってる気がしたよ。風を切ってるとき、自分がかいていた大量の冷や汗に気付いた。

 

運よく知ってる大通りに出て、お昼を食べ、大学で勉強をし、ボランティアに行き、日が傾いてきた頃に帰りました。

 

 

ハンバーガー屋さんを通ったら、テラスに強面にいさんがいた。けっこう暇そうだった。

「やっほー!自転車直ったよ!」(バリバリ日本語)

「ohh!」

通じたみたい!

 

 

今日はここのハンバーガー屋さんで夜ご飯を食べることにしました。強面にいさんはここで働いてるみたい。ちょっと高めのハンバーガーを頼んだ。お肉がジューシーでポテトにかかってるスパイスがガーリック風味で、とってもおいしかった。

 

f:id:KanonCanon:20160927064414j:plain

 

食べてたら、おじいちゃんが帰ってきて、感動の再会みたいなかんじになりました。

 

おじいちゃんがポテトをどさっと追加してくれたと思ったら、ジュースを1本くれて、かと思ったらタダでコーヒーまで出してくれて。おばあちゃん(妻)も出てきて、りんごを2つくれました。スウェーデン語で話されてちょっと眉間にシワを寄せてたら、強面にいさんがスマホの画面を見せてきました。Google translation って文字の下に、" These apples are from her farm" って書いてありました。ありがとーーう!

 

なんでこんなに優しいのって聞いたら、強面にいさんがスマホで打ち込み、

"They really like helping people"

って書かれた画面を見せてくれた。

 

そのあと、おじいちゃんとおばあちゃんが6ヶ月の孫の写真を見せてくれたり、私もルンドで撮った写真を見せたりして、わいわいしました。

 

「今度なんか作ったら持ってくるね。一緒に食べよう!」ってにいさんのスマホに打ち込んで、3人がスウェーデン語に翻訳されたその文章を見てすんごい喜んでたなぁ。

 

イスラムだからポークはダメだけどね」って言われました。肉じゃがはダメか…。

 

 

"Tack så mycket!! (本当にありがとう)" 

って言ってハグして別れて、家に帰った。

ベッドに座って、りんごを見ながら、今日出会った3人の優しさを思い出してたら、あたたかい涙が頬を濡らしていました。

自分でもよくわからないけど、涙が止まらなかった…。

 

 

この文章を書きながら、おじいちゃんの "inga problem (大丈夫)" が頭の中で何回も再生されました。

 

 

f:id:KanonCanon:20160927062626j:plain

 

 

スウェーデンに来てから42日目。

そんなわけで、部屋で大泣きした日でした。

 

優しくされると、優しくなれます。

優しくなりたいって思います。

おじいちゃんたちも、誰かに優しくしてもらったのかなぁ。

だからこんなに優しくなれるのかなぁ。

 

 

優しさはつながっていくね。

 

 

明日もいい1日になりますように。