Canon越しの世界

スウェーデンでの生活を、自分の目とカメラを通して、ゆるく発信していきます

人間になれてよかったなぁと思う2ヶ月記念日

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今日は、私にとってすっごく、濃い1日でした。

 

その濃さを例えるなら、コンデンスミルクを何時間もかけてぐつぐつ煮詰めて、もうコンデンスミルクのコの字もない、ってくらい。

あぁ書いててコンデンスミルクが恋しくなってきた。いちご食べたい…。

 

 

今日、人と会話しました。

犬でも猫でもなく、画面上でもなく、人間と目を見て話しました。

シリア人と、日本人と、デンマーク人。

忘れたくないことだけ、書きます。

 

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デンマークで起きて、遅めの朝ごはんを食べる前に、向かいの部屋に住んでいるシリアの人と話す機会がありました。

 

英語ぺらぺらで、緑のセーターを着こなしていて、香水を5プッシュくらい体に振りまいているAnasは、シリアにいる時、「自分はテロリストだった」って言ったんです。

 

 

「テロリスト」

 

厳重な注意が呼びかけられているヨーロッパで、毎日のように聞く言葉。

 

目の前で、目を見て、彼と話してる、私。

 

 

「テロリストってどゆこと」

 

 

「シリアにいる時、反政府派だったんだ。友達と一緒にデモとかやってた。でも政府はそれが気に入らないから、政府のやることに反抗する人は"テロリスト"って扱われて、国からキックアウトされたわけ」

 

 

彼が目玉焼きの黄身を潰して、塩をかけて、ナンみたいなパンをちぎって、それらを一緒に口に運ぶ動作を私はぼーっと見てた。

 

「はい、パン。黄身につけて食べな」

「少ないからいいよ」

「シリア人はなんでも分け合うんだよ〜どうぞ食べて」

 

 

そのあと、「撃たれたことがある」と彼は言った。

肩に今もその銃弾の痕があるという。

 

 

一緒に小さなお皿に乗った黄身を食べながら、何回も聞き返した。私のほうで英語の聞き間違いがあるんじゃないかって思って。でも、本当は、どっかで彼の言葉が現実とかけ離れてるようで信じたくないって思ってたのかも。

 

 

アメリカン・スナイパー」のワンシーンが頭をよぎった。映画館で見たとき、銃の音が大きすぎて、両手で耳を塞いで、小さな子どもが撃たれる時、ぎゅっと目をつぶったのを思い出した。

 

 

「話してて心痛むよね…無理に話さなくて大丈夫」って言った。

でも彼から現実を知りたかった。

「話すのは慣れてるから大丈夫」

何百回もこの話をしたのかな。

聞いちゃいけないことのような気がして、でも知りたくて、でも、今日会ったばっかりの日本人が、「興味本位」で聞いてるって思われてるかもしれないと思うとやっぱり聞けなくて、すごくジレンマだった。

 
「話すとけっこう長くなっちゃうんだ、今から友達とIKEA行く予定があるから、また今度話すね!」
 
Anasは支度をして出かけて行った。
もう会うことはないんだろうなぁ。
正直、感情をうまく言葉では表せないです。
知ってる語彙が少ないからかな。
 
でも、この感情は、「言葉では表せない感情」のままでいいような気がしました。
この感情にぴったり当てはまる言葉があったら、なんとも説明しがたいいろんな感情が混ざり合った思いが、なくなる気がしました。
赤とか、群青色とか、深緑とか、琥珀色とか、いろんな色が混ざってできあがったなんとも言えない色を、「これは茶色だね」って決めるような感覚です。茶色っぽいけど、でも「茶色」って書かれたチューブからにゅっと出した茶色ではないんです。
 
 
今まで何人もの「難民」の人に会いましたが、初めて会話をして、「難民」が「個別化」された瞬間でした。話してくれてありがとう。
 
 
お昼、トビタテ生のあゆみって子に連絡したら、たまたまコペンにいると言うので、カフェで会いました。
 
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彼女は今はデンマークにトビタテから奨学金をもらって留学してるんだけど、日本では福島に住んでた。2011年に被災したひとり。ジュネーブで開かれた会議で、壇上に上がってその被災した話をしたこともある彼女は、募金でお金を集めて、被災地へのスタディーツアーをこの前の夏企画した。あゆみは自分の意見をすごくしっかり持ってる。原発のことを話した時は、私が考えたことないような視点から話をしてくれた。福島の中で賠償金から格差が生じているってこと。甲状腺に異常が見られた人は手術をするんだけど首に跡が残るからそれを隠してるってこと。その跡のせいで、体が弱いと見られて仕事に就かせてもらえない人がいるってこと。
 
淡々といろんな現実を話してくれた。
 
他にもいろんなことを話した。ゲラゲラ笑って、なんだろう、高校の友達と話してるみたいだったなぁ。同い年にこんな友達がいて、嬉しいなぁ。すっごく楽しかった。話してくれて、ありがとう。
 
 
3人目は帰りの電車で会った50歳くらいのデンマーク人のおじさん。名前忘れちゃった。電車が止まって駅がごった返してる時に、ふっと会話が始まって、結局スウェーデンに行くまでの1時間ちょっと、ずっと話してた。ガーナで英語を7ヶ月教えてた経験は聞いててとっても面白かったなぁ。そのボランティアをした後、貿易会社で働いて、建築家としていくつかの建物をデザインして、今は空港で働いている。やっぱりこっちの人は仕事をぽんぽん移ることができるんだなぁって思った。人生で何個も仕事できるのって楽しそう!
 

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一番心に残ったのが、人生の話をしてた時に
"What is your dream?"
って聞いたら、しばらく沈黙があって。
"Well... It's very good question"
って、遠くの方を見ながらぽそりとつぶやいてたことかなぁ。
 
 
夢はもうほとんど叶えたと思うけど、うん、でもそうだなぁ…。キリマンジャロに登りたいね。小さい夢だけど。
 
 
ほお!いいじゃんいいじゃん!死ぬ前に登りなよ!景色まじで最高だよ!って、(イッテQを見てキリマンジャロから見える絶景は知ってたから) 自分がすでに登ったことがあるかのようにオススメした。
 
 
君の夢は?
 
自分の夢を英語で話してたら、自分でも驚くほど順序立ててすっきり話せていた…。びっくりした。堂々と話してた。英語という言語に包んで言葉を発していたからかな。相手がある程度「他人」だったからかな。
 
 
「いいね!教育を変えたりするのって時間かかると思う。ガーナでそう感じたよ。でも小さなステップでも変化を起こせるといいね。まだ若いから、大丈夫。」
 
 
って言われた時は、すごく嬉しかった。
 
 
たまたま隣にいた人とここまで深い話をするとは思ってもなかったよ。私の夢を聞いてくれて、ありがとう。
 
 
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スウェーデンに来てから61日目。
ちょうど2ヶ月目。
 
犬でも猫でもなくて、人間に生まれてよかったなぁって思った1日でした。
 
ひとつひとつの出会いに感謝したいなぁ。
 
 
明日もいい1日になりますように。